相続対策について

【相続と信託の基本】その2:信託と税金の考え方

前回は「相続と信託の基本」から「信託とはなにか?」を説明しました。
今回は、税金の考え方についてです。

信託の基本:税金の考え方

信託を考える上で切っても切り離せないのが、税金です。財産の権利をもらうことになりますので、そこには税金がかけられる可能性があります。

課税にならないケース:自益信託とは?

委託者と受益者が同じ場合を「自益信託」と言います。このケースでは、課税関係が生じません。

例えば、お父さんが不動産を所有していて、それを子供に預ける信託契約を結んだ場合です。息子さんが受託者のときは管理は息子に任せますが、管理だけ息子さんに任せて、賃料は今までどおり自分でもらう契約です。

信託する前に不動産賃料を貰っていたのはお父さんです。信託後も同じように賃料はお父さんが貰うので、経済価値が移動していないため、課税関係は生じません。

課税になるケース:他益信託とは?

次は、委託者と受益者が異なる場合です。
例えば、お父さんが委託者となり、長男と信託契約を結んで財産の管理をお願いするケースで、その不動産賃料についてはお孫さんに渡したいという場合です。

お父さんが委託者、子どもAが受託者になり、お孫さんは受益者の関係になります。

信託の前はお父さんが不動産賃料を貰いますが、信託契約後については、お孫さんがその収益を貰う形になりますので、信託の前後で経済価値が父から孫に移動しています。適正対価がない場合にはお孫さんに贈与税が課税されてしまうというようなことがあります。
これも、状況によって課税の形態は大きく変わってきます。

課税を受けるのは、他益信託のケースだけになります。自益信託の場合には課税は一切受けません。

課税関係のまとめ

課税関係のまとめとして、

1.原則は、受益者が信託財産を有しているとみなします。受益者が誰かということで課税関係がかわってきます。

2.受益権の評価は、不動産なら不動産の価値が、相続税評価額が信託財産の評価額になります。

また、信託を行っても課税上の取扱いが不利になることはありません。

例えば、信託契約で相続が起こったときに移転をさせる契約を結んだ時に、小規模宅地の特例が使えなくなることはありません。

また、アパートオーナーさんの中には、相続税や所得税対策で長男に物件を贈与したいケースもあると思いますが、万が一、長男が先に死亡してしまった場合を考えると、なかなか踏み切れないという方がいらっしゃいます。お父さんが生前に長男に物件を贈与した後、長男に万が一が起こった場合には、長男の相続人になるのは奥さんと子供になり
ます。自分が代々受け継がれてきた財産が、配偶者の方に移ってしまうということになります。

嫁が財産を持って逃げたという話も聞いたりするので、なかなか踏み切れないというようなお話を聞くこともあります。この信託契約を利用すると、先に長男が何かあったとしてもお父さん自身が管理をすることができるので、懸念されるような心配がなくなります。

次回は、【相続と信託の基本】その3:信託の相続時の活用についてです。

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