前回の記事では、遺言を書く作成時に「税金面」を考えておくと良いことをお伝えしました。
「遺言を書くときに注意することは?(2)」では、実際の事例を紹介しながら説明します。
法定相続人の遺産の分け方【事例】
- 父の遺産:5億円
- 相続人:母、子ども2人
母と子が相続する割合を変えたシミュレーションが下の表です。
図の一番上は、母10:子0で、全部お母さんが相続する場合です。
一番下は、母0:子10ということで、お母さんは一切相続せず、子が全部相続した場合になります。
配偶者がどのくらい相続するべきか
理想としては、線で囲んだ3:7のところになります。
母が3、子が7の割合で相続をすると、一番安い合計額になります。
「一次母」「一次子」の列は、お父さんの相続時に、お母さんと子供がそれぞれ払う税金になります。
「二次」は、今度はお母さんの相続時に、お子さん2人で負担する税金がいくらになるかを示しています。
右側の赤い字のところは一次相続、二次相続の合計です。これが相続にかかる税金がいくらだったかを示しています。
「一次相続」「二次相続」の最小の金額が、黄色の線のところになります。
税金が一番安い割合を考える
一次相続時、お母さんは半分もしくは1億6,000万円まで税金がかかりませんので、3割相続をしたとしても税金はゼロになります。
お子さんの方は、7割相続するので、それに対する税金が9,177万円ということになります。
二次相続の場合、今度はお母さんご自身の相続の時にお父さんから引き継いだ3割の財産に対して1,840万円の相続税がかかります。合計で1億1,017万円の相続税を払って、親世代から世代への財産の移転が済んだということになります。
この3対7が、計算上は一番税金が低いことになります。
例えば5対5の場合、お母さんが半分まで相続しても税金はゼロです。お母さんは一応2億5,000万円まで相続したとしても税金はゼロになります。残り半分をお子さんたちが相続すると6,555万円という税金になります。
2次相続のときには4,920万円の税金がかかって、合計では1億1,475万ということで先ほどの3対7のところよりは少し税金が増えています。そんなに大幅に増えているいうことでもないでご家族の都合によって調整してもいいかもしれません。
- お母さん 一次相続 0円
- 子ども 一次相続 6,555万円 二次相続 4,920万円
- 合計 11,475万円
- お母さん 一次相続 0円
- 子ども 一次相続 9,177万円 二次相続 1,840万円
- 合計 11,017万円
遺言書を作成するとき、税金面がきちんと考えられているかが大切になってきます。
トータルの税金を気にするのであれば、なるべく少ないところの遺産分けに収まっている方が良いです。お母さんの相続分は、多くても半分以下にしておいたほうがいいというのが見て取れます。
反対に、お母さんが少なすぎても今度はトータルの税金が上がってしまうので、3対7ぐらいを基準にしてもらうのが適切な水準かなと思います。
お母さんの相続対策
もう一つの視点として、お母さん側の相続対策をしっかりしておくということも有効です。例えば、5対5で、お母さんが多めに相続をしていても、お母さんの節税対策をしっかりやれば税金としてはこの4,900万円よりも安くすることが可能です。
節税対策をしっかりやるという前提であれば、一次相続の税金をなるべく抑えておきながら、二次相続対策をしっかりやることによってトータルの税金を1億1千万円よりもっと減らすことができます。
その辺も計画に組み込んで遺言を作っておくということができると非常に幅が広がるのではと思います。 なので、遺言はお父さんだけじゃなくてお母さんにも必要です。
夫婦で遺言を残すのも、大事なポイントです。
その3に続く
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