2020年に「贈与と遺言〜相続対策でよくある質問より〜」のオンラインセミナーを開催しました。贈与と遺言で11個のよくある質問について、それぞれ解説していきます。
生前贈与の基礎知識
最初に「知っておきたい生前贈与の基礎知識」ということで、よくある質問から生前贈与の基本的な知識を織り交ぜながら紹介していきます。
生前贈与は節税対策になるということでよく用いられています。
それとともに、元気なうちに自分の判断で財産を好きな人に渡せるということで、もらった側の「ありがとう」という喜ぶ顔も見ることができる利点があります。
自分の意思を実現化させるという意味で、相続よりも贈与で自分が元気なうちに渡すというところが将来の家族円満にもつながると思いますので、ぜひ贈与を役立てていただければと思います。
「贈与をずっとしてきているんだけど、大丈夫だよね?」
よくある質問の一つ目は「贈与をずっとしてきているんだけど大丈夫だよね」いう質問です。
「大丈夫」の意味には以下の2つがあると思っています。
- 税法上(贈与税)、贈与できているか
- 法律上(民法上)、贈与が成立しているか
きちんと贈与が出来ていれば法律上も税法上も問題ありませんが、贈与はポイントを押さえておかないと後からどちらからも否認されることや、後日ちょっと問題になるケースもあります。
後の記事で、贈与に関してよくある質問を4つ、解説していきます。
贈与の定義
まず贈与の定義について
贈与とは、当事者の一方が自己の財産を無償で相手方に与える意思を表示し、相手方がそれを受託することによってその効力を生ずる
ということで民法で規定されています。
財産をあげる人ともらう人、双方が合意して、初めて贈与が成立することになります。あげる側が一方的にあげますと言っても、それだけでは成立しません。
よくあるケース1:夫の収入を妻名義で貯金している場合
お父さんが稼いでいてお母さんが専業主婦という家庭で、長年、お母さんがお金の管理をしている。財産としては夫婦で共有のものなので、お母さんが自分名義の貯金を作っている。お母さんは専業主婦であるにもかかわらず、長年の積み重ねで数千万円の預金がある例があります。
こちらのような例では、その財産がきちんと贈与がされていたのかを確認しています。
贈与の事実がないと、「お母さんの名義を借りただけで、本当はお父さんの預金なんじゃないですか」ということを言われかねません。
よくあるケース2:孫の定期預金
おじいさんがお孫さんのために定期預金を作ってくれていて、孫が大学生になったときにお祝いであげようと思って用意してくれていた場合、肝心のお孫さんがその預金の存在を知らないということになれば、財産をもらう人が合意してない、知らないということになります。
名義は孫で、財産の持ち主はおじいさんということになってしまい、この例も贈与が成立していないことになります。
贈与が有効かどうかのポイント
贈与が有効に成立するための主な4つのポイントです。
- 証拠を残す
- あげる人ともらう人の合意が必要
- もらった人が自由に使える状態が必要
- 分割とみなされない
1.証拠を残す
まず一つ目はしっかりと証拠を遺すことです。
例えば、現預金であればちゃんとお金を振り込む、相手が使っている口座に振り込むということになりますが、その時には契約書を作成するとか、贈与契約書を残すとか、贈与税の申告が必要な方であれば申告もきちんとすることで、贈与の証拠となるものをなるべくたくさん作っておくことをお勧めします。
2.あげる人ともらう人の合意が必要
二つ目は、あげる人ともらう人の合意が必要です。
あげる方は、贈与のつもりだったとしても、もらう方が贈与とわかってないケースが散見されますので、もらう側も、この財産を自分がもらったという意思表示をしておいてもらうことが大切です。
3.もらった人が自由に使える状態が必要
三番目は、もらった人が自由に使える状況が必要です。
例えば、「お金をあげたけれど無駄遣いされると困るから、通帳は私が預かっておきます」となると、贈与にはなりません。
無駄遣いされると思うということは、まだ自分の財産だと思っているということなので、あげたのであれば、もらった側の人が自由に使える状態であることが必要です。
もし無駄遣いして欲しくないのであれば、もらう側の人に「このお金をしっかりと貯めておいて、将来の相続の準備や相続のときのために取っておきなさい」ということを言っておくなど、自分が管理するのではなく、あくまでももらった人が管理できる状態にしておく必要があります。
4.分割とみなされない
四番目は、分割とみなされないことです。
例えば、毎年100万円を10年間に渡って贈与しようというときに、定期積金など、定期的に積み立てていくような形でお子さんの名義で積み立てていくような場合があると思います。
最初から、1,000万円を贈与するということが決まっていて、それを毎年100万円ずつ渡す場合、最初から1,000万円渡すつもりだったとみなされて、1,000万円に対して贈与税が課税されるという見かたをされる場合もありますので、あくまでも、あげたい金額をあげたいときに相手に渡すことが大切です。
これら4つのポイントをちょっと意識しながら、贈与いただくことが大切と考えています。
さらに詳しい内容やご自身のパターンが当てはまるかなど、一度お問い合わせ下さい。ご相談は無料です!
質問その2:認知症の場合の贈与に続きます。
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