相続に関する基礎知識

両親のうち一人が亡くなったときするべきこと〜高齢者の一人暮らしのリスクについて

両親と離れて暮らしていて、どちらが一人が亡くなったときにするべきことを考えてみたいと思います。
今回は、高齢者の方の一人暮らしのリスクについてです。

親が一人暮らしになった時に家族として考えたいこと

それまで両親二人で住んでいてどちらかが亡くなったことで、必然的に一人で住むことになってしまったなどの場合です。
高齢になってくるとさまざまなリスクがあり、家族としては心配なこともあります。
高齢の親が一人暮らしをすることになってしまった時、どのようなことに注意していけばいいでしょうか?

両親のうちのどちらかが亡くなり残った親が一人で暮らしていくことになった場合に、家族としてどんなことができるか、またやっておくべきことがあるかどうかについて考えていきます。子どもは一緒に住んでおらず、それぞれ独立して家庭を持っていると仮定します。

親がどうしたいか確認する

子どもとしては、親が一人で暮らすことに多少なりとも心配です。
ただすぐに一緒に住むわけにはいかない、または仕事や家庭状況で一緒に住めない場合にどんなことができるでしょうか。

まず、最初にやっておくこととしては一人暮らしに対して親がどのように考えているのかを確認します。
こちらが心配しているだけで、元気なうちは一人暮らしを満喫したいかもしれません。

次に、将来的にどのようなリスクや可能性があるか想定しながら、できることをしていきます。

例えば、一緒に暮らさなくても近くに住むことができるかとか、施設に入った場合にどのくらいのお金がかかるのかとか、自分の家族はどう考えているか確認しておくなどです。

65歳以上の一人暮らしが年々増加しています。
65歳以上の独居

出典:内閣府ホームページ【高齢化の状況】→https://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2020/html/zenbun/s1_1_3.html

 

両親のどちらかが亡くなり、残った方が一人暮らしになるのは、親も想像できているとは思うのですが、いざそうなったときに「やっぱり不安だ」と思うのか「元気なうちは一人で暮らしていきたい」と思うのかは本人に聞いてみなくては本当のところがわからないです。

一人では不安なら、親が誰かの家に住む、子どもが実家に引っ越してくる、施設に入るなど、選択肢はあります。お互いが満足できる選択肢を見据えていきたいですね。

親が一人で暮らしていて心配なこと

親が一人暮らしの場合、どんなリスクがあるでしょうか。
離れて暮らしていたり、一緒に住むことが不可能な場合、家族としてどんなことに気をつけていけばいいでしょうか。

高齢の一人暮らしで心配になってくるのは、次の4つのリスクです。

  • 1、転倒による怪我などのリスク
  • 2、認知症の発生リスク
  • 3、火の不始末など災害のリスク
  • 4、食事など健康面のリスク

1、転倒による怪我などのリスク

年齢を重ねていくと、身体機能の低下でどうしても身体が思い通りに動かないことがあります。
今までは何もなかった小さな段差につまづいて、家で転んでしまって骨折してしまうこともあります。
また、お風呂などすべりやすい場所で転倒してしまうことも考えられます。

骨折などで入院してしまった場合、そのまま認知症になってしまったり、気力がなくなってしまうケースもあります。
骨折はもちろんして欲しくないですが、骨折による入院生活によって認知症発症の可能性が怖いのです。
入院中は、食事も与えられるだけ、人と話すことが少ないなど受け身なことが多く、今まで使っていた機能を使わないことで知的機能が低下してしまうからです。

住居のバリアフリー化の検討や、お風呂に手すりをつけるなどリスクがありそうなところの対策をしていくことが重要です。
家だけではなく、靴、スリッパなどの履物を見直してみるのもいいかもしれません。高齢者向けの機能的なものを販売しているので、購入を検討するのもひとつです。

2、食事など健康面のリスク

一人暮らしになると、自分の分だけ食事を作るのが面倒になってしまい料理をする機会が今までより減ってしまう可能性もあります。
簡単なものですませてしまったり、好きなものだけを食べてしまうなど、栄養が偏ってしまいがちです。

2012年に国立長寿医療研究センターが行なった調査によると、約1000人の在宅療養中の高齢者のうち36%の人が低栄養の状態であり、およそ34%が低栄養のおそれがあると報告されています。低栄養状態とは、筋肉をつくるもととなるたんぱく質や日常的に体を活動させるためのエネルギーが足りていないことを指すそうです。

高齢だからこそきちんと栄養のバランスがとれた食事をしていきたいですね。

また「孤食(一人で食事をすること)」による、消化・吸収力の弱まり、噛む力や飲み込む力の衰えといった身体的な機能の衰えも見逃せません。

一緒に住んでいなくても、週に何度かは食事を一緒にしたり、遠距離なら食事の時間を決めてリモートで一緒に食事をすることもできます。
近隣に住んでいるなら、買い物に一緒に行くことも栄養面でのサポートにつながります。

3、認知症の発生リスク

親が一人暮らしになったときに考えたいリスクの3つ目は、認知症発生のリスクです。
一人暮らしになったからといって認知症のリスクが高まるというよりは、認知症の初期症状の発見を見逃さないようにしていきたいということです。

認知症の症状は、早期発見によって進行を遅らせたり、症状の改善が期待できるケースもあります。一緒に暮らしていれば、物忘れが増えたなぁなど認知症初期症状の早期発見ができますが、離れていると見逃してしまうかもしれません。

初期症状としては以下のことがあります。

  1. 同じことを何回も話す・尋ねる
  2. 物の置き忘れが増え、よく捜し物をする
  3. 以前はできた料理や買い物に手間取る
  4. お金の管理ができない
  5. ニュースなど周りの出来事に関心がない
  6. 意欲がなく、趣味・活動をやめた
  7. 怒りっぽくなった・疑い深くなった

出典:NHK健康ch 新潟大学脳研究所教授 池内健(いけうちたけし)氏 解説
→https://www.nhk.or.jp/kenko/atc_117.html

一緒に暮らしていなくても、電話で話したり、旅行などのイベントなどを一緒にすることで小さな初期症状に気づけることがあります。認知症の初期症状を知って、ふだんと違う言動に注意していきたいですね。

4、火の不始末など火事リスク

下記のグラフは、「住宅火災における死者数の推移(平成22年〜令和元年の10年間)」をグラフに表したものです。
住宅火災による年齢別死者の割合をみると、65歳以上の高齢者が占める割合が約7割となっています。

住宅火災における死者数の推移

消防庁 住宅防災防火キャンペーンより→https://www.fdma.go.jp/relocation/html/life/yobou_contents/pdf/130726news.pdf

火災原因は、たばこの不始末、ストーブの消し忘れ、ガスコンロ、電気コンセントなどからの出火などです。

高齢者の家は、消化器具や火災警報機を設置していないことや、モノを捨てられずにモノが多い状態から出火を誘導してしまう住宅環境面の原因もあります。

子ども世代としては、一人暮らしの親の住環境を確認して火災のリスクを減らしていくことができますね。
お盆、年末年始など、実家に帰った時にぜひ一緒に確認してみてください。

  1. ストーブなどは安全装置付きのものを購入する
  2. 生活に必要なものとそうでないものを整理して、不用品は処分する
  3. 長期にわたって使用している電化製品はないか
  4. オール電化の検討、またはガスコンロに安全装置の設置
  5. 電化製品の操作ミスを防ぐ

親の一人暮らしに家族ができることまとめ

一緒に住んでいた両親のうち一人が亡くなったとき、さまざまな手続きもありますが、残った親のことも心配です。
親の気持ちを確認しながら、どのようなサポートができるか考えていただければと思います。

見守りのサポート会社もありますし、介護が必要になったときに連携が取れるように地域包括支援センターとの連絡方法についても今後記事にしていきたいと考えています。ご期待ください。

 

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