相続税は「最後の税金」
相続税とはどんな税金なのでしょうか?
相続税という名前は知っていても、実際のところどんな税金なのか、本当のところを知るのは難しいです。
また、相続税は人が亡くなった時に発生する税金です。
身内の方が亡くなったとき等、自分に関係のあるものなのかそうでないのか気になるところです。
今回は、相続税を下記のデータでみながら、最近の相続の傾向や全体像をつかんでいきたいと思います。
- 亡くなった人に対する相続税の申告の割合はどのくらいか?
- 財産の内訳は?
- 静岡県の相続税申告額はどのくらい?
【相続税の申告事績】相続税の申告の割合
令和元年分の相続税の申告事績は、以下のようになっています。
相続税の申告をした人は、115,267人、申告割合が8.3%です。
亡くなった人のうち、8.3%の人が相続税を納めています。逆を言えば、91.7%の人に相続税は発生していないことになります。
項目 | 令和元年 |
---|---|
死亡者数 | 1,381,093人 |
相続税申告者数 | 115,267人 |
割合 | 8.3% |
課税価格 | 157,843億円 |
税額 | 19,754億円 |
被相続人一人当たり課税価格 | 13,694万円 |
被相続人一人当たり税額 | 1,714万円 |
令和元年分相続税の申告事績の概要:相続税の申告事績 | 国税庁より
全国の被相続人数の推移など
下のグラフの【1】被相続人数の最近の推移ですが、平成30年が136万人だったのにたいして、令和元年は138万人に上昇しています。
課税対象被相続人数は、平成30年の11,6万人から令和元年は11,5万人と若干下降しています。
グラフ【2】の課税割合の推移は、全体の死亡者数を相続税申告者数で割ったものです。令和元年の死亡者1,381,093人を相続税申告者数115,267人で割ると課税割合8.3%となります。
平成30年の8.5%から若干下がったものの、平成27年からの課税割合は8%代となっています。
平成27年から増税になり、相続税が大幅に上がっているのがわかります。これには、以下2つの理由があります。
- 基礎控除額の引き下げ
- 税率が変更された
平成27年1月1日から、基礎控除額の引き下げがおこなわれました。具体的には、平成27年1月1日以降は、3,000万円+600万円×法定相続人に対して課税されることになり、基礎控除額が4割引き下げられたのです。
平成27年以前は、5,000万円+1,000万円×法定相続人が基礎控除額でした。これにより大幅に増税となりました。
また、平成27年以前は、相続によって取得した金額に対してかかる税率が3億円以上はすべて50%でした。
平成27年以降は、新たに取得金額6億円以上に対して55%の税率がかけられることになり、こちらも増税の一因となっています。
相続財産の内訳データ
次に、相続財産の内訳についてのデータをみていきましょう。
令和元年の相続財産の内訳は、土地が34.4%、現金・預貯金等が33.7%となっており、続いて有価証券が15.2%、家屋が5.2%、その他が11.5%となっています。
下の図は平成22年から令和元年までの相続財産の内訳の推移のグラフですが、土地の割合が縮小し、かわりに現金・預貯金等が10年間で10%増えました。
相続財産の金額の推移
相続財産の金額の構成比の推移
令和元年分相続税の申告事績の概要:相続税の申告事績 | 国税庁より
都道府県別の相続税の課税割合で静岡県はトップ5
都道府県別の課税割合で見た場合、静岡県はどのあたりに位置するのでしょうか?
平成30年の都道府県別の相続税の課税割合トップ10
順位 | 都府県 | 課税割合(%) | 増減(ポイント) |
---|---|---|---|
1 | 東京 | 16.7 | 0.6 |
2 | 愛知 | 14.3 | 0.4 |
3 | 神奈川 | 13.3 | 0.4 |
4 | 埼玉 | 10.2 | 0.1 |
5 | 静岡 | 10.0 | 0.1 |
6 | 京都 | 9.8 | 0.0 |
7 | 奈良 | 9.7 | 0.2 |
8 | 兵庫 | 9.2 | 0.5 |
9 | 千葉 | 8.9 | 0.3 |
10 | 大阪 | 8.7 | 0.0 |
平成30年の静岡県の相続税の課税割合は第5位となっています。
平成30年の課税割合の全国平均は8.5%なので、10.0%の静岡県はそれを大きく上回っています。
相続税の計算方法
そもそも相続税はどのように計算されるのでしょうか?
相続税は、基礎控除3,000万円+600万円×法定相続人の数を超える分に課税されます。
課税遺産総額ー基礎控除3,000万円+600万円×法定相続人の数
例えば、お父さんが亡くなって遺産が1億円、法定相続人がお母さん、子ども2人だった場合は以下のようになります。
1億円-3,000万円+600万円×3人
1億円-4,800万円
相続税課税額 5,200万円
これをさらに、法定相続分でわけて計算していきます。
法定相続分は、民法で下記のとおり定められています。
前提:配偶者は常に相続人となります。以下は配偶者以外の人の順番です。
-
- 第1順位:亡くなった人のこども
法定相続分・・・配偶者1/2、子ども(2人以上のときは全員で1/2)
- 第1順位:亡くなった人のこども
-
- 第2順位:亡くなった人の直系尊属(父母、祖父母など)
法定相続分・・・配偶者2/3、直系尊属(2人以上のときは全員で1/3)
- 第2順位:亡くなった人の直系尊属(父母、祖父母など)
- 第3順位:亡くなった人の兄弟姉妹
法定相続分・・・配偶者3/4、兄弟姉妹(2人以上のときは全員で1/4)
相続人の範囲と法定相続分|国税庁 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4132.htmより
例では、法定相続人はお母さんと子供2人なので、5,200万円をそれぞれ法定相続分で分けていくと、次のとおりになります。
・お母さん:5,200万円×1/2=2,600万円
・子供:5,200万円×1/4=1,300万円
・子供:5,200万円×1/4=1,300万円
相続税は、この課税額に税率をかけて計算します。
税率は、取得割合によって決められています。
法定相続分に応ずる取得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
1,000万円以下 | 10% | ー |
3,000万円以下 | 15% | 50万円 |
5,000万円以下 | 20% | 200万円 |
1億円以下 | 30% | 700万円 |
2億円以下 | 40% | 1,700万円 |
3億円以下 | 45% | 2,700万円 |
6億円以下 | 50% | 4,200万円 |
6億円超 | 55% | 7,200万円 |
相続税の税率|国税庁https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4155.htmより
最終的に相続税額は、以下のとおりになります。
・お母さん:2,600万円×15%-50万円=340万円
・子ども:1,300万円×15%-50万円=145万円
・子ども:1,300万円×15%-50万円=145万円
まとめ
相続税の課税状況をデータを中心にみていきました。
気をつけたいのは、相続税を納付するときに現金が手元になかったり、財産が把握できていないなどの申告漏れです。
どのくらい相続税が発生するのか、専門家に一度相談し、相続税額を試算してもらうのもひとつです。
イワサキ経営では、相続相談や相続シュミレーションをおこなっていますので、ぜひ活用ください!!
相続に関して詳しいことは、一度お問い合わせ下さい。ご相談は無料です!
税理士法人イワサキの相続税サービスメニューは、こちらからご確認いただけます。
初回の相談料は無料にて承っておりますので、いつでも遠慮なくお問い合わせください。
相続の準備をしている方へ
相続対策は、実際の相続の現場を多く経験した者しかわからないことがたくさんあります。
イワサキでは公平・中立な立場でお客様の視点に立って、相続税対策や土地の有効活用を分析・提案しております。
相続セミナー情報
税理士法人イワサキでは、毎月静岡市と沼津市で、相続に関するセミナーを開催しています。
直接のご相談はちょっと…というようでしたら、まずはセミナーに参加して、情報収集してみませんか。