内閣府の発表によると、未婚率は年々上昇しており、出生率も下がり続けています。
また、結婚をしても子どもがおらず伴侶と死に別れて、いわゆる「おひとりさま」生活を続けているという方も少なくありません。
このように、おひとりさまは日本社会の中で増え続けており、珍しいことではなくなってきました。
しかし、親族や身内が誰もいない、兄弟姉妹とは没交渉になっている、甥や姪とは冠婚葬祭や年賀状のやり取りしかしていないといった状況では、自分が死んだ後の遺産が誰に相続されるのか不安に思われる方もいらっしゃるかと思います。
そこで、おひとりさまの遺産の相続人について解説します。
おひとりさまの相続・・・法定相続人について
民法では、故人である被相続人の遺産を誰が相続するのかについて、定めています。
まず、故人の配偶者が相続人になります。配偶者以外の法定相続人は血族相続人といい、以下のように順位が定められています。
- 第1順位……子ども(直系卑属)
- 第2順位……親(直系尊属)
- 第3順位……兄弟姉妹
また、それぞれに法定相続分が定められています。おひとりさまが亡くなった場合、どのように相続されるのかを具体例でみていきましょう。
両親が健在な場合
配偶者も子どももいない場合、財産はすべて親が相続します。親が二人とも健在なら、両親が2分の1ずつ相続します。
両親が亡くなっている場合
配偶者や子供がおらず、両親も亡くなっている場合は、第3順位の兄弟姉妹に遺産は相続されます。
このとき、兄弟姉妹が複数人いる場合は、法定相続分を人数で割って、法定相続分を決めます。
四人兄弟なら、故人を除く三人でそれぞれ3分の1ずつ相続します。
なお、兄弟姉妹がすでに亡くなっており、甥や姪にあたる子どもがいる場合は、相続人は甥、姪になります。
遺言がある場合
遺言書がある場合、故人の意思を尊重した遺産相続となります。
ただし、遺留分には注意しなければいけません。遺留分とは一定の法定相続人に法律上保障されている最低限の遺産取得分を意味します。
たとえば、両親が存命にもかかわらず、全財産を両親以外に残すという遺言をした場合、両親の遺留分を侵害していることになり、将来の揉め事の火種になり得ます。
そのため、遺言書の作成にあたっては、その点を考慮する必要があります。なお、兄弟姉妹は遺留分を請求することはできません。
遺産を相続する相手がいない場合
法定相続人や財産を相続させたい相手(受遺者)がいない場合は、検察官又は利害関係人の請求により、家庭裁判所が「相続財産管理人」を選定します。
その後、家庭裁判所は官報によって公告し、相続人がいれば申し出るように通達します。
2か月の間に相続人がみつからない場合は、下記のように分配されます。
被相続人に債務があった場合
被相続人に債務があり、債権者から申し出があった場合は、財産は債権者へ分配されます。
特別縁故者がいた場合
特別縁故者とは、「被相続人と生計を同じくしていた者」や「被相続人の療養監護に努めた者」など、「被相続人と特別の縁故があった者」を指します。
具体的には、内縁関係にあった妻、事実上の養親子、報酬以上に献身的に尽くした付添看護師などが、過去の判例上、特別縁故者に該当すると判断されています。
家庭裁判所に請求をして、特別縁故者として認められると、請求者に財産の一部または全部が受け継がれます。
ただし、特別縁故者として申し出するための期間が限られていることに加え、家庭裁判所での手続が必要なため遺産を受け取るまでに時間がかかることも少なくありません。
遺産を渡したい人がいる場合は、遺言書で指定するほうが確実でしょう。
国庫への帰属
相続人、受遺者、債権者及び特別縁故者がいない場合には、民法第959条にもとづいて遺産は国庫に帰属します。
このように、いくつかの手続きを経て、財産を受け取れる者がいないことを確認してから、最終的におひとりさまの財産は国庫に帰属することになります。
国庫に帰属することを避けるには、自身が積み上げた財産を誰に残したいのか、どのように活用してほしいのかを、生前にしっかりと考えておくことが重要といえます。
現在は元気で住む家も財産もあり何も困っていない場合、将来のことを考えるのはついつい後回しになってしまいます。
しかし、人生には何が起きるかわかりません。自分の死後に、お世話になった方や親せきが遺産を巡って骨肉の争いなどを起こさないように、そして生前に自身が築き上げた財産を有効に活用してもらうためにも、生前にしっかりと準備しておくことをおすすめします。
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