所得税確定申告について、個人事業者はもとより、会社経営者やサラリーマンなどの給与所得者でも以下のようなケースでは申告が必要となります。
1.役員と会社との取引から生じる個人収入
社長・役員が会社から支給される給与が年間2000万円以下の場合は、年末調整を行えば、基本的には確定申告をする必要はありませんが、同族会社の役員が以下のような収入を受け取っている場合は、少額でも確定申告が必要になります。
◎会社に賃貸している不動産賃貸料
役員の自宅の一部を会社の事務所などにして、会社から賃貸料を受け取っていれば、不動産所得として確定申告が必要です。
自宅が共有の場合は、共有者ごとに持分割合で按分して申告する必要があります。
◎会社に貸し付けている金銭の利息収入
役員から会社への金銭貸付けについて、利息を受け取っていれば、雑所得として確定申告が必要です。
2.生命保険契約等の満期保険金・解約返戻金の収入
生命保険会社等から満期保険金や解約返戻金などを受け取った場合は、一時所得として確定申告が必要な場合があります。生命保険契約等の契約者と満期保険金の受取人が同一人でない場合は、贈与税として申告が必要になります。
◎所得税(保険契約者=満期保険金等の受取人)として申告の場合
申告所得金額 = (満期保険金等ー支払った保険料の総額ー50万円)x1/2
◎贈与税(保険契約者≠満期保険金等の受取人)として申告の場合
贈与税の課税価格 = 満期保険金等ー110万円
3.投資に係る収入
株式投資やFX取引などの収益については、確定申告が必要な場合があります。
◎「源泉徴収なしの特定口座」における譲渡による収益が20万円超である
◎譲渡損失を翌年に繰り越す
◎配当と上場株式等の譲渡損失を通算する
◎配当控除を受ける
4.資産譲渡による収入
不動産などの資産を売却した場合にも、原則、確定申告が必要です。
また、マイホームを売却して3,000万円の特別控除の特例や譲渡損失を他の所得と通算する特例などを受ける場合にも、確定申告が必要になります。
5.収入がないのに申告しなければならないもの
1)個人事業者の自家消費
自家消費とは、事業のために仕入れまたは製造した商材等を自身の生活のために消費することです。
販売用資産などの自家消費は、現金等の収入を伴いませんが、次のいずれか高い金額を収入に計上する必要があります。
・仕入金額(製造原価)
・売値の70%
2)預かった敷金や保証金の償却
アパートを賃貸し、入居者の退去時に、部屋の原状回復費用と、預かっていた敷金を相殺した場合は、次のように別々に計上することになります。
・原状回復費用:「修繕費等」として計上
・相殺した敷金:「収入」として計上
3)消費税の益税等
個人事業者が、消費税の経理処理について税抜経理を採用している場合に発生した益税もその発生した年の収入に計上しなければなりません。
ご不明な点は、お気軽にお尋ねください。
(本記事は、「事務所通信」令和2年2月号からの抜粋です)
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