相続に関する基礎知識

被相続人の兄弟姉妹が相続した場合

相続税の申告書作成において、間違いやすい事例についてシリーズでお伝えしていきます。
参考:国税庁ホームページ【相続税の申告書作成時の誤りやすい事例集】

事例1:被相続人の兄弟姉妹が相続した場合

兄弟姉妹が亡くなったとき、被相続人が結婚しておらず、両親も他界している場合は兄弟姉妹が法定相続人になります。

相続の順番として、兄弟姉妹は以下の通りです。

法定相続人の順位

・結婚している場合は配偶者は常に相続人となる

1、子ども
2、直系尊属(親・祖父母)
3、兄弟姉妹

被相続人が結婚している場合は、配偶者は常に相続人になり、続いて子どもが相続人になります。
被相続人が結婚していない場合は、直系家族(親・祖父母)→さらに兄弟姉妹の順番になります。

今回の事例は、被相続人が結婚しておらず、直系家族も亡くなっているというケースです。

以下の事例で、申告書作成において間違いやすいポイントを解説していきます。

私(国税信二郎)は、兄(国税信一郎)の死亡に伴い、妹(税務幸子)とともに兄の財産を相続しました。
なお、兄の法定相続人は、私と妹の2人です。

兄弟姉妹は2割加算の対象になる

兄弟姉妹は、被相続人の二親等の血族であり、一親等の血族に該当しないため、2割加算の対象となります。
相続税の申告書においては、第4表を作成の上、第1表の「⑪相続税額の2割加算が行われる場合の加算金額」欄に第4表で計算した相続税額の加算金額を記入します。

✔︎第4表作成例

国税庁ホームページ【相続税の申告書作成時の誤りやすい事例集】より

2割加算とは

2割加算とは、相続、遺贈や相続時精算課税に係る贈与によって財産を取得した人が、被相続人の一親等の血族(代襲相続人となった孫などの直系卑属を含みます。)及び配偶者以外の人である場合には、その人の相続税額はその相続税額の2割に相当する金額を加算した金額となります。

たとえば、 ①被相続人の兄弟姉妹、甥や姪が相続人となった場合、②被相続人の養子として相続人になった孫(代襲相続人を除きます。)などが2割加算の対象となります。
国税庁ホームページ【相続税の申告書作成時の誤りやすい事例集】より

今回の事例で言うと、①被相続人の兄弟姉妹が該当しますので、2割加算の対象になります。

また、2割加算がされる理由としては、「相続税の負担を公平にするため」とされています。

兄弟姉妹は、「財産形成に寄与していない可能性が高くない」ので、直接財産形成に寄与している可能性が高い配偶者や子どもや親に比べて2割加算の対象になります。

ちなみに兄弟姉妹が法定相続人ではなく、遺言書により財産を引き継ぐ場合も2割加算の対象になります。

2割加算の対象になる人

以下の人が遺産を相続した場合、相続税額が2割加算となりますので、注意が必要です。

2割加算の対象者
  1. 兄弟姉妹
  2. 子供の配偶者
  3. 愛人
  4. 親族ではない人

孫を養子にした場合は、相続税の2割加算の対象になります。
本来、孫に相続する場合は、2回相続税が課税されます。孫を養子にして相続税が1回で済むようにすると不公平になるため、2割加算の対象になるとされます。

2割加算の計算方法

2割加算される場合の計算方法については、以下のとおりになっています。

2割加算の計算方法

税額控除前の相続税額×0.2=2割加算される金額

事例のケースでいきますと、兄国税信一郎さんの遺産240,000円に対して2割加算された金額が相続税の課税対象になります。

240,000円の2割加算分は、240,000×0.2で48,000円になります。
それを、弟信二郎さんが6割、妹幸子さんが4割で相続します。

信二郎さんが相続する144,000円の2割加算分は、28,800円です。
幸子さんが相続する96,000円の2割加算分は、19,200円になります。

まとめ

配偶者や子供は、被相続人と近い関係にあるため法定相続人となり、2割加算の対象になりません。きちんと準備をしておけば、揉めるようなことは避けれらます。

一方、兄弟姉妹は遠方に住んでいたり、疎遠になっていることもあるため、相続が発生するときは意思疎通や話し合いが難しくなってしまうケースがあります。
揉めることのないように、可能性がある場合は、専門家の相談を受けるなど前もって準備しておくことをおすすめします。

 

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