令和3年度の税制改正大綱、今回は固定資産税についてふれていきます。
税制改正大綱・固定資産税について
令和3年度の税制改正大綱の固定資産税の本文は下記になります。
固定資産税は、市町村財政を支える基幹税であり、ウィズコロナ・ポストコロナにおいても、その税収の安定的な確保が不可欠である。
また、固定資産税は、固定資産の保有と市町村の行政サービスとの間に存する受益関係に着目した財産税であり、課税標準は適正な時価とれ、地方税法の規定により、3年ごとに評価替えが実施されている。宅地等については、1年前の時価公示価格の7割を目途としつつ、基準年度及び据置年度の下落修正措置も講じられ、時価の動向を評価額に反映させる形で行われてきた。
商業地等については、平成9年度から負担水準の均衡化を進めてきた結果、令和2年度の負担水準は、据置特例の対象となる60%から70%までの範囲(据置ゾーン)内にほぼ収歛するに至っている。
近年、大都市を中心に地価が上昇する一方、地方において地価が下落していることを受け、負担水準が据置ゾーン外となる土地が数多く生ずると見込まれており、そうした土地の負担水準を据置ゾーン内に再び収歛させることに取り組むべきである。
現下の商業地の地価の状況を見ると、感染症の影響により、令和2年7月時点では三大都市圏や地方圏の一部では上昇が続いている一方で、全国では5年ぶりに下落に転じた。
このような状況を踏まえ、負担調整措置については、納税者の予見可能性に配慮するとともに固定資産税の安定的な確保を図るため、令和3年度から令和5年度までの間、下落修正措置を含め土地に係る固定資産税の負担調整の仕組みと地方公共団体の条例による減額制度を継続する。
その上で、感染症により社会経済活動や国民生活全般を取り巻く状況が大きく変化したことを踏まえ、納税者の負担感に配慮する観点から、令和3年度に限り、負担調整措置等により税額が増加する土地について前年度の税額に据え置く特別な措置を講ずる。(以下省略)
概要
今回の固定資産税に関する税制改正のおおまかな内容としては、以下3点になります。
- 税収の安定が不可欠
- 令和3年から5年までのあいだ、下落修正措置を含め土地にかかる固定資産税の負担調整の仕組みと地方公共団体の条例による減額制度を継続する
- 納税者の負担感に配慮する観点から、令和3年度に限り、負担調整措置等により税額が増加する土地について、前年度の税額に据え置く特別な処理を講ずる
特に、注目する点として、固定資産税の負担調整について、現行の負担調整措置の仕組みを継続した上で、宅地や農地については、令和3年度の課税標準額を令和2年度の課税標準額と同額とする予定である点です。
改正の背景について
固定資産税の課税方法は、評価額に1.4%の標準税率をかけて算定されます。毎年1月1日に、土地家屋などの所有者に対して課税されます。
評価額は、3年ごとに評価替えをおこない、3年間は原則据え置きになる仕組みです。
評価額は、原則、「地価公示価格等」の7割を目途に行っていて、その際、評価額が急激に上昇した場合、納税者の負担感を配慮した負担調整措置が設けられています。
次の評価替えは、令和3年からの3年間になります。また、土地の評価額の基準となる公示価格は令和2年1月1日時点の公示価格となります。
令和2年の公示価格は、全国平均で5年連続、住宅地は3年連続、商業地は5年連続上昇していました。令和2年の公示価格に基づいて固定資産税評価額を算定すると、固定資産税も増加することになります。
今回の税制改正案では、新型コロナウイルスの感染拡大による景気の悪化の影響を考慮して、1年間の特例として、税額が増えるケースでは令和2年度と同額に据え置くことになる予定になっています。令和4年以降は段階的に引き上げる予定です。
- 固定資産税の課税評価額は、令和3年度から3年間据置
- 固定資産税の基準になる「公示評価額」が令和2年1月1日の価格→全国的に上昇傾向だった
- 納税者の負担感を配慮し、1年間の特例として、令和2年度と同額に据え置く予定
固定資産税の軽減制度の活用
この改正とは別に、新型コロナウイルス感染症の影響により事業収入が減少した中小企業者等に向けた固定資産税の軽減制度を利用することができます。(令和3年度分)
一定の書類を添付した特例申告書を、原則、令和3年1月31日までに資産の所在する市町村役所まで提出しなければなりませんのでご注意ください。
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