2020年度税制改正、5回目の今回は、「低未利用地の活用促進」についてです。
2020年税制改正に関連する記事はこちらから
第1回「国外中古建物の不動産所得にかかる損益通算の特例について」
第2回「居住用賃貸建物の取得等に係る消費税の仕入税額控除制度等の適正化」
第3回「配偶者居住権」
第4回「NISA制度の見直し・延長」
低未利用地の活用促進の概要
低未利用地とは、「未利用地」と「低利用地」を合わせた土地のことを指します。
「未利用地」とは、「適正な利用が図られるべき土地であるにもかかわらず長期間利用されていない土地」のことで、「低利用地」とは、「周辺地域の利用状況に比べて利用の程度が低い土地」を指します。
まず、概要をみていきましょう。
「低未利用土地」制度の概要
個人が都市計画区域内にある低未利用土地等を譲渡した場合において、要件を満たすときは、その年中の低未利用土地等 の譲渡に係る長期譲渡所得の金額から100万円を控除できる制度が創設される(住民税も同様)
市区町村の長の確認
低未利用土地等であること及び譲渡後の低未利用土地等の利用について市区町村の長の確認がされていること
譲渡する年の1月1日において所有期間が5年を超えていること
そのほか、譲渡の相手としては、売主の配偶者その他のその売主と一定の特別の関係があるものに対する譲渡でないことが条件としてあげられています。
また、譲渡の額が、500万円以下であること(低未利用土地等の上にある建物等の対価の額を含む)としています。
注意点としては、適用を受けようとする低未利用土地等と一筆の土地から分筆された土地等について、その年の前年または前々年にこと制度の適用を受けていないことがあげられています。
①土地基本法等の一部を改正する法律の施行の日
②2020年(令和2年)7月1日①②のいずれか遅い日から2022年(令和4年)12月31日までの間の譲渡について適用する
低未利用地の適切な利用・管理を促進するための特例措置の創設の背景
今回の改正で、個人が譲渡価格が500万円以下であって、都市計画区域内にある一定の低未利用地を譲渡した場合に、長期譲渡所得から100万円を控除する特例措置(〜令和4年12月31日)が創設されます。
施策の背景としては、地方部を中心に全国的に空き家が増加していることがあげられます。
実に、地方部における世帯所有の宅地の10%が空き家であり、土地を売らずに低未利用土地(空き家)として放置されている現状があります。
これには、低額な不動産取引の課題があげられます。
想定したよりも売却収入が低かったり、相対的に譲渡費用(測量費、解体費等)の負担が重い、様々な費用の支出があった上にさらに貸される譲渡所得税の負担感が大きいなどです。
その結果、土地を売らずに低未利用地(空き地)として放置されてしまっているのが現状です。
少額の低未利用土地について、売主の取引にあたっての負担感を軽減することで、現所有者が土地を売却するインセンティブを付与し、土地で新たな価値を見出す者への譲渡を促進させます。
低未利用土地等と、その上にある建物等を一括譲渡した場合には、建物等の方とに係る譲渡所得の金額からは控除できないので、注意が必要です。
この、低未利用地を長期譲渡所得の金額から100万円を控除できる制度を利用することで、期待されることとしては下記のことがあげられます。
・土地の有効活用を通じた投資の促進、地域活性化
・所有者不明土地の発生予防
まとめ
「想定したよりも売却収入が低い」「相対的に譲渡費用の負担が重い」「課される譲渡所得税の負担感が大きい」とされ空き地となっている低未利用地ですが、売主の負担を軽減することで新しい活用の促進につながることを願います。
次回は、「未婚のひとり親に対する税制上の措置及び寡婦(夫)控除の見直し」です。
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