2019年12月12日、『2020年度税制改正大綱』が公表されました。
今回は、「国外中古建物の不動産所得にかかる損益通算の特例」について考えてみたいと思います。
2020年税制改正に関連する記事はこちらから
第1回「国外中古建物の不動産所得にかかる損益通算の特例について」
第2回「居住用賃貸建物の取得等に係る消費税の仕入税額控除制度等の適正化」
第3回「配偶者居住権」
「NISAの見直し・延長」概要
2020年度の税制改正では、NISA制度のについての見直しも行われました。
大きな改正点は、以下の通りです。
- 一般のNISA(積立期間5年間)が2階建ての構成となる
- NISA口座開設可能期間を5年延長する
- ジュニアNISAについては、新規の口座開設を2023年までとする
人生100年時代を迎え、高齢期における就労の拡大や働き方の多様化に対応し、私的年金の加入可能年齢等の引上げや、中小企業への企業年金の普及・拡大等に取り組む。成長資金の供給を促しつつ、家計の安定的な資産形成を促進する観点から、NISA制度全体を見直す中でつみたてNISAを延長し、少額からの積立・分散投資を促進していく。
4.経済社会の構造変化を踏まえた税制の見直し
経済成長に必要な成長資金の供給を促すとともに、人生100年時代にふさわしい家計の安定的な資産形成を支援していく観点から、NISA制度について、少額からの積立・分散投資をさらに促進する方向で制度の見直しを行いつつ、口座開設可能期間を延長する。
基本的な制度としては、非課税期間5年間の一般NISAについては、より多くの国民に積立・分散投資による安定的な資産形成を促す観点から、積み立てを行っている場合には別枠の非課税投資を可能とする2階建ての制度に見直したうえで、口座開設可能期間を5年延長する。
投資対象商品については、1階部分はつみたてNISAと同様とし、2階部分は、現行の一般NISAから高レバレッジ投資信託など安定的な資産形成に不向きな一部の商品を除くこととする。また、非課税期間20年間の現行のつみたてNISAについては5年延長し、ジュニアNISAについては、利用実績が乏しいことから延長せず、新規の口座開設を2023年までとする。
改正で現行NISAはどう変わる?
将来のお金は積み立ててねという政府の気持ちがにじみ出た改正です。
通常、株式や投資信託などに投資して、売却して得た利益や配当には20%の譲渡所得税がかかります。
NISA口座で買い付けた商品は、譲渡所得を非課税にすることができます。
ジュニアNISAは予定通り2023年で終了
ジュニアNISAとは2016年度から始まった未成年者を対象とした年間80万円まで非課税になる制度です。親権者が子どもに投資用の口座を開設し、子どもの代わりに運用していくものです。
これは良いとスタートしましたが、結局利用実績が乏しいため、予定どおり2023年で終了です。
結局、どこに投資したらいいのかを考えたときにわからなくなる人が多かったようです。どういうふうに考えていいかわからないと、面倒になってしまいますよね。
その結果、口座だけ開設して、投資していない口座がたくさんあるようです。
現行NISAと改正NISA
現行NISAには、一般NISAとつみたてNISAがあり、どちらかを選ぶことになっています。
改正後は、「一般NISA」は、「新・NISA(仮)」として、「つみたてNISA」はそのまま「つみたてNISA」として措置されます。
一般NISAの現行は、非課税期間5年間、上限600万円(年間120万円)ですが、新・NISAは一階と二階に分けられます。
一階は、上限100万円(年間20万円)の5年間非課税期間があり、二階は、上限510万円(年間102万円)5年間の非課税期間です。
原則として、二階の非課税枠を利用するためには一階の積立投資を行う必要があります。
一階は比較的低リスクな商品が選ばれる予定で、安定的な資産形成に資するものとしてください、となっています。
「つみたてNISA」は、2037年まででしたが、5年延長され2042年まで口座開設が可能とされました。
年間の投資上限金額は変更なく40万円です。
現行同様、「新・NISA(仮)」と「つみたてNISA」は、併用できないのでどちらか1つを選択します。
「つみたてNISA」で口座を持っていた人も、今後、「新・NISA(仮)」に移行することができます。
「新・NISA(仮)」が二階構造になり、非課税の上限額一階二階合わせて122万円になったことで、上手に使い分けしてみるのもいいですね。
ただし「つみたてNISA」は非課税期間が「20年」と長いので、どちらを選ぶかは資産形成の性格によるでしょう。
口座開設期間が5年間延長されますけども、こうなったからと言って投資が進むかっていうのはなかなか難しいのかもしれません。
ドルコスト平均法が資産形成に向いている
ちょっと余談ですが。。
ファイナンシャルプランナーの人が、「ドルコスト平均法がいいよ」って教えてくれました。
株価が上がったりすると、おんなじ金額だけ毎月積み立てているとあんまり買えないですよね。口数変えないからちょっと損した気持ちになります。
でも、すごく世の中の市況が悪くなって、ドーンと下がったりするとおんなじ金額だと口数が多く買えます。
資本主義が続いていって、世界経済が拡大してドルコスト平均法が一番確実な資産形成なんだって教えてくれました。
まとめ
さらっとNISAの改正や延長を説明しました。
名称(仮)や具体的な内容がまだこれから決定してくると思いますので、情報をチェックしていきたいと思います。
NISAが投資を推し進めてくれることを願いたいですね。
次回は、「低末利用地の活用促進」についてです。
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