いつか考えなければならないことの一つに相続にあります。
皆さんは相続について今どんなことを知っておきたいですか。
それは損をしないための知識ではないでしょうか。
そこで毎月第2第4木曜午後5時からは、沼津市大岡にありますイワサキ経営より、税理士の先生や現役バリバリの相談員の方をお迎えして、相続について損をしないために知っておきたいことを伺っていきます。
地域の皆様に愛されて45年、イワサキ経営グループの提供でお送りしますコーストFM「イワサキ経営相続相談室」第120回(2019年7月11日放送)は、前回の放送の直後に質問を頂いていました
「自営業なんですが生きているうちに会社引き継いだほうが税金が安いんですか」
について説明いたします。
生きているうちに会社を引き継いだほうが税金が安いかどうか?
まず結論から言いますと、その方のケースバイケースということになります。
その自営業の方の場合、生きてるうちに会社を引き継いた方が安いかということですが、実際にその会社の株価がいくらぐらいになるかという計算をしてみないとわからないところがあります。
例えば、その方自身が相続税という税金がかかって来ないようであれば、わざわざ先に移す必要もないですし、逆に相続税がすごい高い状態で生きているうちに会社の株価を贈与という形でお金を与えて株を渡していけば安くなるというケースもあります。
したがって、その方自身の財産の状況や会社の株価など、1回計算をしていただくのが解決の道に繋がるかなと思います。
弊社にも事業承継のご相談窓口とかもありますので、そういったところにご相談いただいたりとかしていただければ確実に答えがわかるかなと思います。
相続法改正について
相続法というものがですね、改正されました。
大幅な改正がですね約40年ぶりですね、昭和55年に改正されて以来の大幅な改正ということでその辺をちょっとお話ししていきたいなと思うんですけど、すごくボリュームがありますのでその1回目をお話したいと思います。
今回相続法の改正された大きな6つのポイントがあるんですけれども、
まず1つ目が配偶者の居住権っていうのを保護するための方策
2つ目が、遺産分割、財産分けに関する見直し。
3つ目が、遺言です。遺言制度に関する見直し。
4つ目が、遺留分制度の見直し。
5つ目が、相続の効力等に関する見直し。
最後に相続人以外の貢献を考慮するための方策っていう、大きく6つの分野の改正があったんですね。
今日はですね、これまで何度かこの場でもお話をしたことがあるんですけれども、遺言に関する見直し。そこをちょっとお話しします。
相続法改正-1.自筆証書遺言
今までお話しましたけども、遺言には大きく分けるという2つあります。
「公正証書」
「自筆証書遺言」
とあります。
今回、自筆証書遺言に関するルールが改正されました。
遺言は、今まですべて手書きだったんです。自分で書いて自分で署名をして、どういった財産があるかをすべて手書きで書くというのが、自筆証書遺言っていうルールだったんです。
これが少しだけ緩和されたといいますか、書きやすくなったといいますか、ちょっと変わりました。
例えば、自分の財産を誰に相続させるという遺言を遺したとします。そして、どういった財産や不動産を持っているというのもあると思うんですけど、こういった自分の財産を一覧にしたものを財産目録というのですが、それを今までは手書きで書かないといかないといけなかったんです。
これをワープロで作成することがOKになったんです。
ただ、ワープロで書いても、そのページごとに必ず署名をしないといけないんです。
今まではその財産の内容に関してもきちんと手書きで書かないといけないというルールだったのですが、それが若干緩和されて、ワープロでもいいですし、あとは不動産に関する登記情報ってあるんですけどもそういうものでもOK、預金とかであれば通帳のコピーとかでもOKになりました。
ただ、先ほど言ったように、下には必ず署名と印鑑が必要になります。
こういった制度が、2019年1月13日からはじまっています。
ですから、たくさん例えば財産があって、一つ一つで全部記載しないといけないっていう方
は今までは手書きだって大変だったけれども、パソコンを使ってワードとかで作成をして目録を作ることができるようになったというのはメリットです。
ただ、おおもとの遺言書の内容に関しては、今までどおり手書きで書かないといけないんです。繰り返しになりますが、ワープロであったりコピーで良いのは、その財産の目録の部分だけになります。
そしてもう一つ、遺言に関する改正があったんですね。
手書きの遺言書の保管のやり方に関する変更があります。
相続法改正-2.遺言書の保管について
自宅の金庫なり銀行なりで保管をしていたものが、2020年7月から、法務局で手書きの遺言書を保管してくれる制度が始まります。
今までだと自分で保管すると、紛失や焼失で無くす恐れがありましたが、これを法務局がきちんと管理してくれる制度が始まるんです。
これは、いい面悪い面が色々とあるんですよね。
まず、メリットとしては、さっき言ったように紛失とかがないのが大きな特徴。法務局で預かってくれるということで、検印が必要なくなりました。
今までは、手書きの遺言書が見つかったとき、遺言書を見つけた人が、まず家庭裁判所に行って検印っていう手続をしないといけないんです。
それが不要になった。
遺言書は当然法務局の方で保管されていますし、焼失したりしてもデータは法務局にあるので、そうした心配はありません。
検印の手間とかそういうのは確かになくなったんですが、例えば実際にこの制度を利用して遺言書を作った方が法務局に預けて保管してもらい、その方が亡くなったとします。
そうしたら相続人の方がですね、法務局に、遺言書状況証明書請求させるんです。
ただ、その際に、法務局としては法律上の相続人全員に、うちの方で遺言書を保管してましたっていうことで事実を通知することになるということです。どういうことかというと、検印をする時に亡くなった方の戸籍とか相続人を確定させた書類を検印させます。
それと同じように、おそらく、まだ決まってはないですが、相続人が誰なのか相続人の住所がどこなのか他の相続人に通知するわけで、法務局もそういう資料を提出していただくという形になるので、集める書類としては今まで変わらない状況になるかなというのが正直なところです。
手書きの遺言書を法務局が預かってくれるということは、非常に話題にもなってますし、確かに遺言書を書きやすくなったと思うんですけど、ただ我々からするとやっぱり遺言書を遺すとすれば、いつもお話している公正証書遺言がやっぱり一番かなと思うんですよね。
公正証書遺言があればいつも言うんです。
水戸黄門の印籠のような効力があるんです。
ですから、自筆証書遺言も作りやすくはなったと思いますけど、遺言書を遺したいって考えている方がいらっしゃれば、今までどおり公正証書遺言が一番かなというふうに思います。
自筆証書遺言と公正証書遺言とどちらが多いかというと、お手伝いをしている範囲では、公正証書遺言が圧倒的に多いです。
そういった話をすると、じゃぁ公正証書が安心だよね、と。
手書きだとリスクが大きいですから、公正証書遺言であれば、交渉人という先生がその人の意思を確認した上で法律に則った形で作り上げてくれますから、やっぱり公正証書が安心です。
ちょっと費用はかかるけれどもやっぱり公正証書が一番だって思いますね。
相続法改正3-遺留分に関する改正〜お金で請求する形に
もう一つ。遺言書に関連した形で、遺留分というものが改正されています。
遺留分って言うのは、例えば遺言書などで長男に全部相続させると書いてあると、次男は財産がもらえなくなりますが、法律上、最低限保証した権利があります。それを遺留分といいます。
遺留分は、今までは、例えば亡くなった人が一緒に同居している長男に全部相続させるっていう遺言書を遺したとして、遺された財産が自宅の土地と建物だけとします。金額的な価値で言うと1,000万円だとします。
じゃあそれを、今までずっと面倒を見てくれた長男だから長男に全部相続させるっていう遺言を残したとします。そうすると、当然、その遺言書で長男さんはその自宅の土地を引きつぐことができる。
でも先ほど言ったように他の相続人がいた場合、例えば長男に弟さんがいた場合、その弟さんは財産をもらえなくなります。そうなると、次男が長男であるお兄ちゃんに対して、「兄ちゃん俺だって財産もらう権利があるんだからちょっとよこせよ」と、この場合2,000万円の財産とし、建物の価値のある財産を長男が引き継ぎました。
そうなった場合、長男と遺留分、弟から請求されてきた場合に、遺留分として最低限保障された権利を渡さないといけなくなるんです。
じゃあその最低限保障された遺留分というのはどれだけになるかというと、法律上の法定相続分という権利の半分、長男さんと次男さんの2人だけしか相続人がいない場合は、当然法律上の権利として長男さんが1/2、次男さんが1/2、そのまた次男の1/2のまた半分である
4分を1っていうのが遺留分なんですね。
今までは厳密に言うと遺留分の減殺請求とは、現物の返還請求という意味合いがあって、例えばその不動産しかないという場合、その次男と長男さんで遺留分に相当する持ち分で共有で持つっていう形になるんです。
でもこれがですね、遺留分っていうのが遺留分侵害額請求という呼び名に変わり、お金で請求する形になりました。
ですから、2000万円の価値がある不動産の場合、1/4、500万円を次男に現金で渡さないといけない形になりました。
要するにお金で請求するのは、いい面悪い面がたくさんあると思うんです。
一緒に共有で持ったほうがいいと思う人も、お金で払わないといけなくなったので、お金を作らないといけない。
家庭裁判所に分割払いや支払う期間を待ってもらうか許可を貰う必要が出てきました。
改正点のもう一つは、今までは遺留分の算定が非常に難しかったんです。
残った財産を請求する権利ですが、過去10年までさかのぼった形で遺留分の算定する金額になったという形になりました。これは時間なので結論だけで。
こういう形で、遺言の内容に関する規定や遺留分の規定は変わりますというお話でした。
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