土地・家屋価格等縦覧帳簿は、固定資産税の納税者が「土地価格等縦覧帳簿」「家屋価格等縦覧帳簿」を閲覧縦覧できる制度です。
この制度によって、納税者が自身の土地や家屋の価格と市町村内の他の土地・家屋の価格を比較し、自分の土地や家屋の評価額が適正であるかを確認することが可能です。
今回は、土地・家屋価格等縦覧帳簿の縦覧の概要や固定資産税との関係について解説していきます。
土地・家屋価格等縦覧帳簿の縦覧とは
縦覧制度は、固定資産税の納税者が、自身の資産の価格が適正かどうかを判断するための重要な手段です。
市町村内の他の土地や家屋と比較することで、価格設定が妥当かどうかを確認することができます。
また、縦覧は納税者の権利を保護する役割も果たします。固定資産税の計算基準となる価格に対して納税者が異議を唱える際の基礎資料となります。
縦覧の対象者と方法
自分の土地や家屋の評価額が適正であるか、固定資産税の納税者が「土地価格等縦覧帳簿・家屋価格等縦覧帳簿」で確認することができます。
縦覧できる人
縦覧の対象者は、当該市町村内に所在する土地・家屋に対して固定資産税を納めている納税者です。
また、代理人による縦覧も可能ですが、その場合は納税者の委任状が必要です。
同居の親族の縦覧については、市町村によって対応や必要書類が異なりますので、確認の上申請するようにしてください。
縦覧期間
縦覧期間は毎年4月1日から20日、またはその年度の最初の納期限の日のいずれか遅い日以後の日までです。
申請、縦覧場所
縦覧場所は市町村長が指定し、市役所の資産税課などで行われます。
市町村によって窓口が異なりますので、確認の上申請してください。
■静岡県東部の主な市区町村「土地・家屋価格等縦覧帳簿の縦覧」窓口
市町村 | 窓口 |
---|---|
沼津市 | 市役所2階 財務部資産税課 |
三島市 | 市役所西館1階 課税課 資産税係 |
富士市 | 市役所3階 資産税課 |
伊東市 | 市役所課税課資産税係(高層棟2階) |
御殿場市 | 課税課窓口(市役所本庁舎1階) |
静岡市 | 静岡庁舎新館2階 固定資産税課 |
縦覧できる資料と内容
縦覧できるの資料は、土地価格等縦覧帳簿と家屋価格等縦覧帳簿があります。
土地に関する納税者は土地価格等縦覧帳簿を、家屋に関する納税者は家屋価格等縦覧帳簿を縦覧できます。
なお、償却資産は縦覧対象外です。
- 土地価格等縦覧帳簿 内容:所在・地番・地目・地積・評価額
- 家屋価格等縦覧帳簿 内容:所在・家屋番号・種類・構造・床面積・評価額
縦覧に必要なもの
縦覧の際は、本人確認書類としてマイナンバーカードや運転免許証などの官公署発行の顔写真付き書類が必要です。
また、代理人が縦覧する場合は、委任状など代理人であることを確認できる書類も必要になります。
- 固定資産税課税台帳閲覧・縦覧申請書
- 縦覧する人の身分を証明するもの(免許証等)
- 委任されている人の場合は、委任状(法人の場合は、代表者印のある委任状)
※委任状の委任者氏名は自筆によることとします
各市町村によって必要な書類が若干異なりますので、こちらも確認していただけばと思います。
固定資産税と土地・家屋価格等縦覧帳簿の縦覧の関係
固定資産税は毎年1月1日において土地や家屋などを所有している人に対し、その不動産の所在地の市町村が課税する地方税です。
納付方法は、年度初めに市町村から送付される納税通知書に従って、通常4回に分割して納付するか、一括で納付する方法があります。
税額は原則として「固定資産税課税標準額の1.4%」です。
新築住宅や住宅用地には軽減措置があります。
また、固定資産税は毎年1月1日において固定資産課税台帳に登録された所有者に課税されます。
そのため、不動産の売買で所有者が変わった場合でも、納税義務者は1月1日時点の所有者です。売買契約書において、新所有者が固定資産税の一部を負担する特約が設けられることが多いです。
「固定資産台帳の閲覧」と「土地・家屋価格等縦覧帳簿縦覧」の違いについて
「土地・家屋価格等縦覧帳簿縦覧」と似ているものとして「固定資産台帳の閲覧」があります。
縦覧は他の資産との比較を重視しており、閲覧は自身の資産の確認に重きを置いていることが特徴です。
また縦覧期間は「毎年4月1日から20日、またはその年度の最初の納期限の日のいずれか遅い日まで」ですが、閲覧は「通年」可能です。
項目 | 縦覧 | 閲覧 |
---|---|---|
対象者 | 市町村内に所在する土地・家屋に対して固定資産税を納めている納税者 | 所有している固定資産の所有者またはその代理人 |
対象資産 | 土地価格等縦覧帳簿および家屋価格等縦覧帳簿に記載されている資産 | 固定資産台帳に記載されている所有資産 |
目的 | 毎年4月1日から20日、またはその年度の最初の納期限の日のいずれか遅い日まで | 通年(市町村の役所の開庁日であれば随時) |
期間 | 市町村内に所在する土地・家屋に対して固定資産税を納めている納税者 | 所有している固定資産の所有者またはその代理人 |
場所 | 市町村長が指定する場所(通常は区役所の税務課窓口) | 市町村の役所または指定された窓口 |
比較の可否 | 他の土地・家屋と比較可能 | 比較不可 |
情報の範囲 | 市町村内の他の土地・家屋の価格全体を確認できる | 固定資産台帳に記載された自身の資産の価格のみ確認可能 |
本人確認書類 | マイナンバーカードや運転免許証などの官公署発行の顔写真付き書類 | 同様 |
土地・家屋価格等縦覧帳簿縦覧は市町村内の他の資産との比較を可能にするための制度であり、閲覧は自身の資産の価格を確認するための制度です。
対象者、期間、場所、そして情報の範囲に違いがあり、縦覧は価格の比較に、閲覧は価格の確認に重きを置いている点が特徴です。
評価額に疑問や不服がある場合
縦覧を通じて評価額に対する疑問や不服があった場合、その評価額について市町村の固定資産税担当部署に異議を申し立てることができます。
異議申し立てを行うには、市町村が指定する書式で申し立て書を提出する必要があります。申し立て書には、評価額に対する不服の理由や根拠、他の資産との比較結果などを明記します。
市町村はこの異議申し立てを受けた後、審査を行い、評価額が適正であるかどうかを確認します。審査の結果、評価額に誤りがあれば、適正な評価額に修正されます。
- 1、縦覧制度の利用
- 2、評価額への異議申し立て(市町村の担当部著)
- 3、固定資産評価審査委員会への不服申立て
- 4、裁判所への提訴
固定資産評価審査委員会の審査結果に納得できない場合は、裁判所に提訴することも可能です。
裁判所は第三者機関として、評価額に対する不服を法的に判断します。
提訴は最後の手段として位置づけられており、裁判手続きには時間と費用がかかるため、慎重な判断が必要です。
まとめ
土地・家屋価格等縦覧帳簿は、固定資産税の納税者が、自身の土地や家屋の価格と市町村内の他の土地・家屋の価格を比較できるようにするための制度です。
市町村内の他の土地や家屋と比較することで、評価額が妥当かどうかを確認することができます。
縦覧制度の利用することで、自身の固定資産の評価額を把握し比較できます。
土地・家屋価格等縦覧帳簿の縦覧は、毎年4月1日から20日、またはその年度の最初の納期限の日のいずれか遅い日以後の日まで利用することができますので、ご自身の納得のいく評価がされているか年に1度確認してみてはいかがでしょうか。
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